永住許可のガイドラインが2026年10月に改定|年収・年金・日本語B1の目安と、外国人社員を雇う会社が確認すること
2026年10月1日、入管庁が永住許可のガイドラインを改定し、世帯年収・年金・日本語B1相当・子どもの就学などの目安を明文化しました。適用時期、在留期間「3年」の経過措置、永住者の取消しのガイドラインと、会社がいま確認しておきたいことを整理します。
2026年10月1日、出入国在留管理庁(入管庁)が「永住許可に関するガイドライン」を改定しました。同じ日に「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」も公表され、永住の手数料も1万円から20万円に上がっています。永住を目指す外国人社員がいる会社にとっては、審査で何を見られるのかがこれまでより具体的になった改定です。ニュースの要点、会社への影響、いまやっておきたいことの順にまとめます。
ニュースの要点:何が明文化されたのか
改定後のガイドラインでは、これまで運用に委ねられていた審査の目安が、文書ではっきり示されました。主なものは次の4つです。
項目 | 改定後のガイドラインの考え方 |
世帯の年収 | 世帯単位で見て、世帯年収が同じ人数の日本人世帯の平均収入(年収水準)を継続して上回っているか。扶養している親族は海外在住でも人数に加える。「家族滞在」など就労目的でない在留資格の人の収入は算入しない |
年金 | 申請時の年齢と加入状況から将来の受給見込額を推計し、年収水準で厚生年金に30年加入した場合の水準に届くかを見る。届かない分は、補える金融資産があれば足りるとされる |
日本語 | 日本語教育の参照枠でB1相当以上が目安。高度人材とその家族などは対象外 |
子どもの就学 | 学齢期の子どもが小中学校に通っていること |
このほか、在留期間は原則として施行規則上の最長期間を持っていること、過去10年以内に合理的な理由なく1回で半年以上、または通算2年6か月以上日本を離れていると原則としてマイナスに評価されること、税金や社会保険料の支払状況を見ることなども整理されています。
いつから適用されるのか
適用は申請日で決まり、段階的です。2026年3月31日までの申請には従来版(2026年2月24日改訂版)が使われます。2026年4月1日から2027年3月31日までの申請も基本は従来版ですが、収入に関する部分(独立生計と公共の負担に関する部分)だけは改定版が先に適用されます。2027年4月1日以降の申請からは改定版が全面的に適用されます。あわせて「我が国への貢献」に関するガイドラインは2027年3月31日で廃止されます。
在留期間「3年」の扱いに注意
実務で見落としやすいのが在留期間の扱いです。永住の申請には原則として最長の在留期間(多くの就労資格では「5年」)を持っていることが求められますが、2027年3月31日までの申請に限っては「3年」でも最長期間として扱われます。2027年4月1日以降は、初回の申請で一定の条件を満たす場合を除き、この扱いはなくなります。
永住者の取消しのガイドラインも公表
同じ10月1日に、永住者の在留資格の取消しに関するガイドラインも公表されました。2024年の入管法改正で加わった取消事由の運用を示したもので、入管法上の義務を守らないことや、税金・社会保険料を故意に支払わないことなどが対象です。
故意の不払いとは、支払義務を知りながらあえて払わない場合を指し、病気や災害、失業などやむを得ない事情で払えない場合や、分納・猶予を受けている場合は対象外とされています。給与から天引きされているのに会社が納めていない場合も、本人の故意には当たらないと整理されています。また、該当しても多くは取消しではなく「定住者」など別の在留資格への変更で対応する、という考え方が示されています。
企業への影響:会社の手続きが本人の永住審査に響く
改定ガイドラインで重く見られる年収、年金、社会保険料の納付は、どれも会社の給与計算や社会保険の手続きと直結しています。社会保険の加入漏れや手続きの遅れがあると、社員本人に落ち度がなくても、永住の審査で不利に働くおそれがあります。
永住を持っている社員にとっても他人事ではありません。会社が天引きした保険料を納めていない場合は本人の故意には当たらないとされていますが、確認や説明の手間を負うのは本人です。永住者の在留資格を安定させるという意味でも、会社の手続きをきちんとしておくことが大切になりました。
もうひとつ、永住の手数料が20万円になったことで、「永住を取れば更新の手間と費用がなくなる」という社員の期待は、以前より重いものになっています。会社として支援するのか、費用をどうするのかを聞かれる場面も増えるはずです。
今やるべきこと
まず、永住を考えている社員がいるかを把握し、いつ頃の申請を見込んでいるのかを聞いておきます。2027年3月31日までに申請するか、4月以降にするかで、適用される基準や在留期間「3年」の扱いが変わるためです。
次に、社会保険・年金の加入と納付に漏れがないかを、会社側の記録で確認します。転職してきた社員は前職の期間の状況も影響するので、本人にも年金記録(ねんきん定期便やねんきんネット)を確かめてもらうとよいでしょう。
あわせて、源泉徴収票や住民税の課税・納税証明書など、年収と納税を示す書類を本人がそろえられるよう、発行の手順を社内で決めておくと申請準備が早く進みます。日本語B1相当が目安として明記されたので、日本語学習の支援を検討している会社は、この機会に対象や方法を見直してもよいかもしれません。
なお、ガイドラインは審査の考え方を示したもので、個々の申請は事情を総合的に見て判断されます。年収水準などの具体的な金額や細かな適用関係は、入管庁の最新の案内でご確認ください。
よくある質問
2026年中に永住を申請する予定です。新しいガイドラインは適用されますか?
2026年4月1日から2027年3月31日までの申請は、基本的に従来のガイドラインで審査されますが、収入に関する部分だけは改定版が先に適用されます。全面的な適用は2027年4月1日以降の申請からです。
在留期間が「3年」の社員は、永住を申請できますか?
2027年3月31日までの申請であれば、「3年」も最長の在留期間として扱われます。2027年4月1日以降は、初回の申請で一定の条件を満たす場合を除いてこの扱いがなくなるため、申請の時期を早めに相談しておくと安心です。
会社が社会保険料の納付を遅らせると、社員の永住に影響しますか?
永住の審査では公的年金や医療保険の保険料の納付状況が見られるため、影響するおそれがあります。会社の手続きの遅れが社員の不利益にならないよう、加入と納付の状況を定期的に確認しておくことをおすすめします。
永住者が住民税を払えなくなったら、すぐに永住を取り消されますか?
取消しのガイドラインでは、故意に支払わない場合が対象とされ、病気や失業などやむを得ない事情による未納や、分納・猶予を受けている場合は対象外とされています。払えないときは、放置せずに早めに市区町村へ相談することが大切です。
アンドシードへのご相談
外国人雇用・在留資格のご相談は、行政書士事務所アンドシードへ。永住申請の時期の見極めや、年収・年金・納税の書類の整え方、社員への説明まで、会社と社員の両方の立場からお手伝いします。
出典
本記事は2026年10月9日時点の出入国在留管理庁の公表資料をもとに、行政書士事務所アンドシードが要約・解説したものです。制度の細部は変わることがありますので、申請の際は入管庁の最新の案内をご確認ください。
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この記事は、当事務所の記事サイト「外国人雇用と在留資格のノート」にも掲載しています。掲載元:https://lp.andceed.com/eiju-guideline-kaitei-2026/
English version: https://lp.andceed.com/en/eiju-guideline-kaitei-2026/