外国人受け入れの「基本方針」を2026年度内に策定へ|人数規制の議論で、外国人を雇う会社が今から備えること
高市首相は2026年10月9日、在留外国人の受け入れに関する基本方針を2026年度内(2027年3月まで)にまとめると表明し、人口予測を踏まえて人数に規制を設けるかを判断するとしました。ニュースの要点と企業への影響、今のうちに整えておきたいことを解説します。
高市早苗首相は2026年10月9日の参議院の代表質問で、在留外国人の受け入れに関する基本方針を2026年度内(2027年3月まで)にまとめると表明しました。日本経済新聞の報道によると、日本全体の人口動態の予測と対応策を踏まえ、在留外国人の人数に規制を設けるかどうかを判断するとしています。外国人を雇う会社にとっては、採用計画の前提にかかわる話です。ニュースの要点、企業への影響、いま整えておきたいことの順に見ていきます。
ニュースの要点:人口予測とセットで「受け入れの総量」を議論
日経の記事によれば、政府は年末に「人口総合戦略」を決め、少子化対策を進めつつも人口が増加に転じるのは難しいという前提で、経済と社会のあり方を示します。2027年3月までに決める外国人受け入れの基本方針は、この戦略と一体で議論されます。首相は代表質問で、人口動態の将来シミュレーションと対応策の全体像を示すと述べました。
背景にある数字は次のとおりです。
項目 | 内容(日経の記事より) |
在留外国人の数 | 2025年末時点で412万人。足元では年30万人以上のペースで増えている |
日本人の人口 | 2026年1月時点で、42年ぶりに1億2000万人を下回った |
将来の総人口 | 国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では、2070年に8700万人程度 |
受け入れの上限 | 上限があるのは特定技能1号など一部の在留資格だけで、在留外国人の総数を定める法令はない |
国会では、外国人の総数や比率に数値目標や上限を設けるべきだという質問も出ています。一方で、記事は、建設・製造・サービス業などで人手不足が深刻なこと、経済界や自治体から外国人材の活用を求める声があることも伝えています。これまで政府は上限や数値目標を示さず、在留資格の要件や審査の厳格化を進めてきました。入管庁の幹部は、総量を決めるより個別の在留資格の適正化を図るほうが利点が大きいという考えを示しているとのことです。
企業への影響:すぐに何かが変わるわけではないが、前提は動く
今回の表明で、いま雇っている外国人社員の在留資格や、申請中の手続きが変わるわけではありません。基本方針がまとまるのは2027年3月までで、人数の規制を設けるかどうかもその中で判断されます。
ただ、会社が備えておくべき点は二つあります。一つは、在留資格ごとの受け入れ枠が採用を左右する場面が、すでに出ていることです。特定技能の外食業分野では、受け入れ見込数に達したため、2026年4月から海外からの新規呼び寄せに必要な在留資格認定証明書の交付が一時停止されています。総量の議論がどう決着しても、分野や在留資格ごとの枠は今後も採用計画に直接かかわってきます。
もう一つは、政府がこれまで進めてきた要件や審査の厳格化が続く可能性が高いことです。2026年10月には在留期間更新の手数料の段階制や、永住許可のガイドラインの改定も始まっています。届出や社会保険の手続きがきちんとしている会社ほど、審査が厳しくなっても影響を受けにくくなります。
今やるべきこと
まず、外国人社員の在留資格、在留期限、担当している業務を一覧にして、業務の内容と在留資格が合っているかを確かめておきます。受け入れのルールが見直される局面では、ここがずれていると更新の審査でつまずきやすくなります。
次に、採用計画を一つの在留資格に頼りすぎていないかを点検します。特定技能、技術・人文知識・国際業務、2027年4月に始まる育成就労など、自社の業務で使える在留資格を整理しておけば、どこかの枠が締まっても次の手を打てます。
そのうえで、所属機関としての届出、社会保険・労働保険の加入、雇用契約の内容など、会社側の手続きを総点検しておくことをおすすめします。基本方針の中身は年度末に向けて具体化していくので、続報にも注意しておきましょう。
よくある質問
外国人の受け入れ人数に上限ができるのですか?
現時点では決まっていません。政府は2026年度内(2027年3月まで)に基本方針をまとめ、その中で人数に規制を設けるかどうかを判断するとしています。
いま雇っている外国人社員の在留資格に影響はありますか?
今回の表明で、すでに許可されている在留資格や申請中の手続きが直ちに変わることはありません。ただ、要件や審査の運用は見直しが続いているので、更新の時期に慌てないよう、書類と手続きを日頃から整えておくことをおすすめします。
今から外国人を採用しても大丈夫ですか?
採用そのものを控える必要はありません。ただし、外食業のように在留資格ごとの枠で新規の受け入れが止まる例もあるため、使う在留資格の枠や要件を確認したうえで計画を立てることが大切です。
アンドシードへのご相談
外国人雇用・在留資格のご相談は、行政書士事務所アンドシードへ。外国人社員の在留資格の棚卸しや、採用に使える在留資格の整理、更新・変更の手続きまで、制度の動きを踏まえてお手伝いします。
出典
本記事は日本経済新聞電子版(2026年10月9日)の報道と入管庁の公表資料をもとに、行政書士事務所アンドシードが要約・解説したものです。記事本文の転載ではありません。政策の内容は今後変わることがあります。
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この記事は、当事務所の記事サイト「外国人雇用と在留資格のノート」にも掲載しています。掲載元:https://lp.andceed.com/gaikokujin-ukeire-kihon-hoshin/
English version: https://lp.andceed.com/en/gaikokujin-ukeire-kihon-hoshin/