監理団体の許可は、育成就労では使えません
育成就労制度では、監理支援機関の許可をあらためて取り直すことになります。監理団体からの自動移行はありません。みなし規定の向き、令和8年9月30日という目安期限、間に合わなかったときに何が起きるか、そして準備でいちばん時間がかかる三つを整理します。
育成就労制度が令和9年4月1日に施行されます。監理団体にとって最初の関門は、いま持っている許可がそのままでは使えないという点です。監理支援機関の許可は、更新でも移行でもなく、新規の取り直しになります。
自動では移行しません
出入国在留管理庁と外国人技能実習機構は、この点をはっきり書いています。監理団体が監理支援機関として育成就労制度に関わる業務を行うためには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。監理団体の許可を持っているからといって、自動的に監理支援機関になれるわけではありません。
ただし、逆方向にはみなし規定があります。監理支援機関の許可を受けていれば、技能実習制度における一般監理事業に係る許可を受けたものとみなされます。ですから施行日以降も技能実習生を抱えている場合に、監理団体許可の有効期間の更新申請を別途行う必要はありません。監理支援機関を取れば技能実習側は追いかけなくてよい、という一方通行の関係です。
期限は令和8年9月30日が目安
施行日前の申請受付は令和8年4月15日から令和9年3月31日まで続きます。そのうえで、施行日から監理支援事業を行うことを希望する場合は令和8年9月30日までに申請するよう案内されています。ただし同日までに申請した場合でも、令和9年4月1日付の許可を確約するものではない、という但し書きが付いています。
申請先は外国人技能実習機構の本部審査課分室で、書留やレターパックプラス等による郵送です。監理団体の許可申請と違い、地方事務所では受け付けていません。許可証の発送は令和9年4月以降が予定されています。
間に合わないと、新規受入れの入口が両方閉じます
ペナルティがあるわけではありません。実害は別のところにあります。
許可が下りるまで育成就労には関与できません。一方で、施行日以降は新たな技能実習計画の認定申請も受け付けられません。最後のチャンスは、令和9年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、かつ令和9年6月30日までに実習を開始する分だけです。この二つが重なると、令和9年4月から許可が下りる日までが、そのまま新規受入れの止まる期間になります。
なお、施行日時点で在留している技能実習生は引き続き認定計画に基づいて実習を続けられますし、監理団体としての監理も続けられます。1号から2号への移行も可能です。ただし監理支援機関の許可がなければ先ほどのみなし規定が使えないため、監理団体許可の有効期間が切れる場合は通常どおり更新申請が必要になります。許可申請と更新申請の両方を走らせることになり、費用も手間も二重になります。
公的な費用
申請手数料が1件10,600円で、収入印紙を申請書に貼付します。調査手数料が1件81,000円、これは機構のサイトで払込票を発行してコンビニまたはゆうちょ銀行で払い込みます(別途システム利用料572円)。登録免許税が15,000円で、麹町税務署へ事前に納付し、領収証書の原本を納付申告書に貼付して提出します。
事業所が2か所目以降は、申請手数料が1か所につき4,400円、調査手数料が1か所につき57,600円加算されます。納付済みの手数料は、申請を取り下げても還付されません。
時間がかかるのは、この三つ
添付書類は40項目を超えますが、書類集めはあとから巻き返せます。日程が読みにくいのは、相手のある次の三つです。
定款の変更。定款に育成就労監理支援事業を行う旨の記載が必要です。記載がない場合、事業協同組合であれば総会の特別決議を経て行政庁の認可を受け、変更登記まで進むことになります。認可に相応の期間を要するため、ここが全体の申請時期を決めます。まず自組合の定款を開いて、記載があるかどうかを確かめてください。
講習の受講。監理支援責任者と外部監査人は、申請時点で過去3年以内の講習受講証明書が必要です。当面は技能実習制度の監理責任者等講習の受講証明書も認められます。未受講であれば講習の空き枠を先に押さえる必要があり、会場によっては数か月先まで埋まっています。
送出機関との取次ぎ契約。技能実習の送出し契約をそのまま流用することはできず、原則として育成就労用に新たな取次ぎ契約を締結する必要があります。日本語版と現地語(又は英語)版の両方を提出し、違約金を定めないこと、本人や親族の金銭財産を管理しないことを確認する旨と、送出管理費の支払に使う双方の法人名義口座を記載します。相手の対応を待つ手続なので、早く動くほど有利です。
外部監査人の設置が必須になりました
技能実習制度では、指定外部役員を置くか外部監査を受けるかを選べました。育成就労の監理支援機関では外部監査人の設置が必須です。受入れ機関と密接な関係がない者であること、講習を過去3年以内に受講していることの両方を満たす必要があります。人選が決まらないと申請そのものができないため、定款と並んで早めに片を付けるべき項目です。
このほか、常勤役職員は最低2名以上、直近決算での債務超過は不許可事由、監理支援を行う受入れ機関は原則2者以上といった基準があります。事業所ごとに、施錠できる個人情報の保管場所と面談スペースの平面図と写真も求められます。各室2方向、面談スペースは扉の開閉両方といった具合に要求が細かく、撮り直しがいちばん起きやすい箇所です。
現行の監理団体の許可は、育成就労でも使えますか?
使えません。監理団体が監理支援機関として育成就労に関わるには、あらためて監理支援機関の許可を受ける必要があります。監理団体許可からの自動移行やみなし規定はありません。
監理支援機関の許可を取ると、技能実習側はどうなりますか?
技能実習制度における一般監理事業に係る許可を受けたものとみなされます。したがって施行日以降も技能実習生を受け入れている場合でも、監理団体許可の有効期間の更新申請は別途必要ありません。
令和8年9月30日までに申請しないと、もう申請できませんか?
できます。施行日前申請の受付は令和9年3月31日まで続きます。9月30日はあくまで、施行日から監理支援事業を行いたい場合の目安として案内されている日です。同日までに申請しても4月1日付の許可を確約するものではありません。
許可が令和9年4月1日に間に合わないと、どうなりますか?
許可が下りるまで育成就労の監理支援はできません。あわせて施行日以降は新たな技能実習計画の認定申請も受け付けられないため、新規の受入れが止まる期間が生じます。すでに在留している技能実習生の監理は、監理団体の許可を維持したまま続けられます。
費用はいくらかかりますか?
公的な実費として、申請手数料10,600円、調査手数料81,000円、登録免許税15,000円がかかります。事業所が2か所目以降は、申請手数料が1か所につき4,400円、調査手数料が1か所につき57,600円加算されます。
外部監査人は必ず置かなければなりませんか?
はい。監理支援機関では外部監査人の設置が必須です。技能実習制度のように外部役員と外部監査を選べる仕組みではありません。就任には、申請時点で過去3年以内の講習受講証明書が必要です。
準備でいちばん時間がかかるのはどこですか?
定款の変更です。定款に育成就労監理支援事業を行う旨の記載が必要で、記載がない場合は総会の特別決議、行政庁の認可、変更登記という順に進むため相応の期間を要します。次いで、講習の受講枠の確保と、送出機関との取次ぎ契約の新規締結が日程に縛られます。
この記事について
本記事は令和8年9月10日時点で公表されている資料に基づいています。参照したのは、出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」および「育成就労制度の制度概要・関係法令」、外国人技能実習機構の「監理支援機関許可 施行日前申請」のページと「監理支援機関の許可申請手続【施行日前申請用】」です。施行までに省令や運用要領の追加・改訂があり得ますので、実際の申請にあたっては各公的サイトで最新の内容をご確認ください。
弊所では、監理支援機関の許可申請について、要件の診断から様式類の作成、業務運営規程や監理支援費表の整備、事業所の図面と写真の撮影指導、添付書類の点検までお引き受けしています。外部監査人の受任もご相談ください。まずは定款の記載と、監理支援責任者・外部監査人の講習受講日をお調べいただければ、申請がいつになるかの見通しが立ちます。
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この記事は、当事務所の記事サイト「外国人雇用と在留資格のノート」にも掲載しています。掲載元:https://lp.andceed.com/kanri-shien-kikan-kyoka/