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警備業・空港業務の外国人材受け入れ──制度が決まる前に、会社が準備しておけること

6 日前
読了時間: 10分
2026年9月、警備業では特定技能への追加を議論する警察庁の検討会が始まり、空港グランドハンドリングでは育成就労に「航空」分野を加える方針が示されました。10月からは在留手続きの手数料も上がります。決まったこととまだ決まっていないことを分けたうえで、警備会社・空港関連会社がいまから進められる準備を整理します。

警備と空港。どちらも「人が足りない」と言われ続けてきた業界で、この9月に外国人材の受け入れをめぐる動きが相次ぎました。ただ、二つの業界は置かれている状況がまったく違います。


空港グランドハンドリングは、すでに特定技能で外国人を受け入れられます。今回の動きは、そこに育成就労という入口をもう一つ足すかどうか、という話です。一方の警備業は、特定技能でも育成就労でも、現時点では対象外です。警察庁の検討会で、対象に加えるかどうかの議論が始まったところです。


この記事では、2026年9月24日時点の報道と公表資料をもとに、決まったことと決まっていないことを分けて整理します。そのうえで、制度の結論を待たずに会社がやっておけることをまとめました。



この9月に何が動いたのか


2026年の主な動きを並べます。


時期

動き

状況

8月25日

在留手続きの手数料を引き上げる政令を閣議決定。10月1日から適用

確定

9月1日

育成就労計画の認定申請の受付が始まる(制度の施行は2027年4月1日)

確定

9月9日

政府の有識者会議で、育成就労に「航空」分野を加える方針が示される。12月中の閣議決定を目指す

検討中

9月16日

警備業への外国人材受け入れを議論する警察庁の有識者検討会が初会合

検討中

27年1月めど

警備業の検討会が報告書をまとめる

予定


背景の数字も押さえておきます。警備員を含む保安職業従事者の有効求人倍率は、2026年7月時点で6.54倍でした。全職業の1.05倍と比べると、求人に対して人がまったく足りていないことが分かります。警備員の年齢構成も、2025年末時点で60代以上が47%を占めています。



空港グランドハンドリング:いま使える制度と、これからの制度


いまは特定技能「航空」分野で受け入れられる


特定技能には「航空」分野があり、その中に空港グランドハンドリングの業務区分があります。航空機の地上走行の支援、手荷物や貨物の取り扱いといった地上業務がこれに当たります。もう一つの業務区分は航空機整備です。


特定技能1号で受け入れるために本人に求められるのは、航空分野の特定技能1号評価試験(空港グランドハンドリング)に合格することと、日本語能力A2相当以上(日本語能力試験N4など)です。関連する技能実習2号を良好に修了した人は、試験が免除されます。


会社の側には、航空分野ならではの条件があります。雇用は直接雇用に限られます。受け入れる会社は、空港管理者の承認や国土交通大臣の認定を受けた事業者であることなど、分野ごとの基準を満たす必要があります。加えて、在留資格の申請前に「航空分野特定技能協議会」へ加入しておかなければなりません。協議会の事務局は国土交通省航空局で、会費はかかりません。


これから:育成就労に「航空」を追加する方針


技能実習に代わって2027年4月に始まる育成就労は、3年間働きながら特定技能1号の水準まで育てることを目的とした制度です。これまで航空分野は対象に入っていませんでしたが、9月9日の有識者会議で、政府は航空分野を加える方針を示しました。報道によると、想定している業務は空港グランドハンドリングで、受け入れ人数は300人の見通しです。


気をつけたいのは、枠が増えるわけではない点です。航空分野の受け入れ上限は特定技能1号と育成就労の合計で4,900人とされ、この数字は変えずに、特定技能1号の枠から300人分を育成就労へ移す形になると報じられています。政府は12月中の閣議決定を目指していますが、技能を評価する試験の中身や、実際にいつから受け入れられるかはまだ決まっていません。



警備業:議論が始まった段階


警備業については、弊所の別記事「警備業で外国人を雇えるか」で詳しく整理しています。要点だけ繰り返します。


警備業法に警備員の国籍要件はありません。永住者・定住者・日本人の配偶者等のように就労制限のない在留資格の方は、いまでも警備員として雇えます。一方で、特定技能と育成就労では警備業は対象外で、警察庁の検討会が「対象に加えるのが妥当か」「担える業務をどう区切るか(施設警備・交通誘導・現金輸送など)」「日本語能力の要件をどうするか」を議論しています。


報告書は2027年1月をめどにまとめられる予定ですが、それで制度が決まるわけではありません。対象分野に加えるには、政府の有識者会議を経て閣議決定が必要です。対象業務・受け入れ人数・日本語要件・開始時期は、どれもまだ決まっていません。警察庁は「国民の不安を払拭する制度設計が必要だ」としており、要件は慎重に設計されると見込まれます。



特定技能と育成就労のちがい


二つの制度は、似ているようで考え方が違います。受け入れ方を検討するときの見取り図として、主なちがいを並べます。


項目

特定技能(1号)

育成就労

目的

人手不足の分野で、即戦力を受け入れる

3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準まで育てる

開始

2019年から運用中

2027年4月1日施行

入国時の技能

分野ごとの技能試験に合格

試験合格は不要(育てることが前提)

日本語

A2相当以上(N4など)

入国前にA1相当(N5など)。特定技能1号へ移るときにA2相当

在留期間

1号は通算5年まで

原則3年

転職・転籍

同じ分野の中であれば可能

本人の意向による転籍は、分野ごとに定める1〜2年の就労などが条件

支援・監理

支援は自社か登録支援機関に委託

監理支援機関が監理(団体監理型)

空港グランドハンドリング

対象

追加を検討中

警備業

対象外(追加を検討中)

対象外(追加の是非も論点)



手数料が10月から上がる


制度の話とは別に、コストの面でも変化があります。2026年10月1日から、在留資格の変更や在留期間の更新にかかる手数料が大きく上がります。これまで窓口で6,000円だった変更・更新の手数料は、許可される在留期間に応じた金額になりました。


許可される在留期間

窓口申請

オンライン申請

3か月以下

10,000円

―

3か月超6か月以下

18,000円

15,000円

6か月超1年未満

25,000円

21,000円

1年

33,000円

27,000円

1年超3年未満

48,000円

42,000円

3年以上5年未満

64,000円

56,000円

5年以上

75,000円

65,000円


永住許可は1万円から20万円になり、申請は窓口のみです。9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても改定前の金額で済みます。外国人社員を何人も雇う会社では、誰がいつ更新を迎えるかを一覧にしておくと、来期の予算に組み込みやすくなります。



受け入れ枠には上限がある


見落とされやすいのが、特定技能1号の受け入れ上限です。分野ごとに上限が決められていて、それに近づくと新規の受け入れが止まることがあります。実際に外食業は、2026年4月に新規の受け入れを停止し、再開の時期は決まっていません。


出入国在留管理庁は2026年7月から、分野ごとの上限にどこまで近づいているか(上限達成率)の公表を始めました。3月末時点で、飲食料品製造業が72.2%、建設が67.2%でした。航空分野も上限の中で運用されている以上、早めに準備した会社から枠を使っていくことになります。



制度が決まる前に、会社がやっておけること


警備業のように制度そのものが未定でも、空港グランドハンドリングのようにすでに使える制度があっても、準備の中身はほとんど共通しています。どれも、制度がどう決まっても無駄にならないものです。


社内の体制を決める。受け入れの責任者と、外国人社員が困ったときの相談窓口を決めておきます。現場のリーダーに方針を共有し、マニュアルや安全教育の資料を、やさしい日本語で読める形に見直しておくと、受け入れ後の立ち上がりがまるで違います。


雇用条件を説明できる形にする。特定技能でも育成就労でも、報酬は同じ仕事をする日本人と同等以上であることが求められます。賃金表や昇給の考え方、雇用契約書が整理されていれば、申請の段階で慌てることはありません。社会保険・労働保険の加入漏れや未納がないことも、受け入れる会社の要件です。


住まいと生活の立ち上げを段取りする。社宅や借り上げ住宅の確保に加えて、入国直後の銀行口座・携帯電話・役所の手続きの流れを決めておきます。ここでつまずくと、仕事を始める前に本人が疲れてしまいます。


日本語の支援策を決める。求められる日本語の目安は、特定技能でA2相当、育成就労の入国時でA1相当です。現場で使う言葉は、試験の日本語とは別物です。空港なら無線や安全確認の言い回し、警備なら事故時の通報や通行人への案内など、現場用語の一覧を作っておくと役に立ちます。


支援機関の選び方を考えておく。特定技能は自社で支援するか登録支援機関に委託するか、育成就労は監理支援機関と組むのが基本です。対応できる言語、その分野での実績、費用の内訳を比べて選びます。制度が動き出してから探すと、選べる相手が少なくなります。


採用したい時期から逆算する。人材の確保、書類の準備、出入国在留管理庁の審査、入国の手続きまで、数か月単位の時間がかかります。空港グランドハンドリングで来年度の採用を考えているなら、いまが動き始める時期です。



よくある質問


空港グランドハンドリングで、いますぐ外国人を受け入れられますか?


特定技能「航空」分野の空港グランドハンドリング区分であれば、現在も受け入れられます。本人は技能試験と日本語試験(A2相当以上)の合格が必要で、会社は直接雇用であること、航空分野の基準を満たすこと、申請前に航空分野特定技能協議会へ加入することが必要です。育成就労での受け入れは、航空分野の追加がまだ検討中のため、現時点ではできません。


育成就労で空港業務の人材を受け入れられるのはいつからですか?


決まっていません。育成就労制度そのものは2027年4月1日に始まりますが、航空分野を対象に加える方針は12月中の閣議決定を目指している段階で、試験の中身や開始時期はその後に具体化されます。


警備業は2027年から特定技能で雇えるようになりますか?


分かりません。警察庁の検討会が2027年1月をめどに報告書をまとめる予定ですが、対象分野に加えるには、その後に政府の有識者会議と閣議決定が必要です。「2027年に解禁される」と断定する説明を見かけたら、根拠を確認されることをお勧めします。


手数料の値上げは、会社の負担になりますか?


手数料を本人と会社のどちらが負担するかは、法令で決まっているものではなく、社内の決め方しだいです。会社が負担するのであれば、1人あたりの更新費用が大きく上がることになります。外国人社員の更新時期を一覧にしておくと、費用の見通しが立てやすくなります。


制度が決まる前に相談しても意味がありますか?


あります。社会保険の加入状況、雇用条件、支援体制は、どの制度で受け入れる場合でも見られる点です。いまの状態で受け入れる会社の要件を満たせるかを先に確認しておけば、制度が決まったときにすぐ動けます。



弊所にご相談いただけること


行政書士事務所アンドシードは、名古屋を拠点に、在留資格の申請と外国人雇用の手続きを専門にしている事務所です。警備業・空港関連の会社さまからは、次のようなご相談をお受けしています。


特定技能「航空」分野での受け入れの申請書類の作成と出入国在留管理庁への申請取次。航空分野特定技能協議会への加入手続き。受け入れる会社としての要件を満たしているかの事前確認。永住者・定住者など、いまでも警備員として雇える方の在留資格の確認と、在留期間の更新。登録支援機関・監理支援機関の選び方のご相談。制度の動きを追いかけて、決まったことを契約先の会社さまへお知らせする顧問サービスもあります。


警備業の特定技能については、制度がまだ存在しないため、申請のご依頼はお受けできません。検討会の議論は引き続き追いかけ、動きがあればこのサイトでお知らせします。



この記事について


本記事は2026年9月24日時点の情報に基づいています。報道にもとづく部分は、日本経済新聞 電子版(2026年8月1日、8月25日、9月9日、9月10日、9月16日)と時事通信(2026年9月9日、9月10日)の記事を要約したもので、記事本文の転載はしていません。制度の内容は、出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」「航空分野」「育成就労制度Q&A」、国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れ」をもとにしています。


育成就労への航空分野の追加、警備業の特定技能・育成就労への追加は、いずれも検討中です。本記事は将来の制度化を保証するものではありません。具体的な採用や申請のご判断にあたっては、その時点での最新の公的情報をご確認いただくか、弊所までお問い合わせください。


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この記事は、当事務所の記事サイト「外国人雇用と在留資格のノート」にも掲載しています。掲載元:https://lp.andceed.com/keibi-kuko-gaikokujin-ukeire-junbi/


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