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警備業で外国人を雇えるか──特定技能の対象追加は、議論が始まった段階です

6 日前
読了時間: 10分
警察庁が、警備業への外国人材受け入れを議論する有識者検討会を2026年9月16日に立ち上げます。ただし現時点で、警備員を特定技能で雇うことはできません。何が決まっていて何が未定か、いま愛知・名古屋の警備会社が雇える外国人はどういう人か、2027年に向けて準備できることを整理します。

結論から書きます。2026年9月10日現在、警備業で外国人を「特定技能」の在留資格で雇うことはできません。警備業は特定技能の対象分野に入っていないからです。育成就労(技能実習に代わる新制度)でも同じです。


そのうえで、9月10日に一つ動きがありました。警察庁が、人手不足が深刻な警備業への外国人材受け入れを議論する有識者検討会を立ち上げ、9月16日に初会合を開くと報じられています。あくまで議論の入口が開いただけで、対象分野に追加されるかどうかは決まっていません。この記事は、その線引きを取り違えないための整理です。


交通誘導警備(2号業務)を中心とする愛知県内の中小事業者の方から、「外国人を警備員として雇えるのか」というご相談が増えています。結論は上のとおりですが、「では今は何ができて、2027年に向けて何を準備しておけばいいのか」は分けて考える価値があります。



何が動いたのか


報じられている内容を、日程の形にするとこうなります。


時期

内容

2019年

特定技能の制度が始まる。現在の対象は介護・建設など19分野で、警備業は含まれていない

2026年9月16日

警察庁の有識者検討会が初会合。大学教授・弁護士・業界団体幹部らで構成

2027年1月をめど

検討会が報告書をまとめる

2027年4月

技能実習に代わる新制度「育成就労」が始まる(警備業は現時点で対象外)

(時期未定)

実際に対象分野へ加えるには、政府の有識者会議を経たうえで閣議決定が必要


検討会で議題に挙がるとされているのは、在留資格「特定技能」の対象に警備業を加えることの妥当性、求める日本語能力の要件、そして従事できる業務区分をどう切るか(施設巡回・交通誘導・現金輸送など)の三点です。


警察庁は「警備業は国民の生命、財産に関わる機会が多い。一定の規模で受け入れるのであれば国民の不安を払拭する制度設計が必要だ」としています。慎重な言い回しで、これは「受け入れます」という宣言ではありません。


背景にある数字は、警備業界の方にはおなじみのものだと思います。警備員を含む保安職業従事者の有効求人倍率は、2026年7月時点で6.54倍でした。全職業の1.05倍と比べると開きが大きく、募集をかけても人が来ない状況が数字として出ています。あわせて、2025年末時点で60代以上の警備員が全体の47%を占めています。業界団体からは警察庁に対し、外国人就労の拡大を求める要望が出されてきました。



「決まっていること」と「まだ何も決まっていないこと」


ここが、いちばん取り違えの起きやすいところです。


決まっていること

まだ決まっていないこと

警察庁が有識者検討会を設置し、9月16日に初会合を開くこと

警備業が特定技能の対象分野に追加されるかどうか

検討会の構成(大学教授・弁護士・業界団体幹部ら)

追加される場合の時期

2027年1月をめどに報告書をまとめること

求められる日本語能力の水準

現在の特定技能の対象は19分野で、警備業は入っていないこと

従事できる業務区分の切り方(施設巡回・交通誘導・現金輸送のどれが入るか)

現在の警備業法に国籍要件はないこと

技能試験の内容・実施時期

追加には政府の有識者会議と閣議決定が必要なこと

警備会社側に上乗せで課される要件があるかどうか


右の列は、いま誰にも分かりません。検討会の報告書が出る2027年1月ごろに、ようやく方向性が見えるという段取りです。報告書がまとまったとしても、そこから制度化の手続きが残ります。


ですので、「2027年に解禁される」「対象分野に追加されます」と書かれた記事や営業資料を見かけたら、そこは事実より先に進んでいる、と受け取ってください。



いま、警備員として雇える外国人はどういう人か


警備業法に国籍要件はありません。外国人だから警備員になれない、という条文はないということです。


ただし、在留資格の側で絞りがかかります。実際に警備員として就労できるのは、就労に制限のない身分系の在留資格を持つ方に限られます。具体的には次の四つです。


  • 永住者

  • 定住者

  • 日本人の配偶者等/永住者の配偶者等

  • 特別永住者


技術・人文知識・国際業務(技人国)や技能といった就労系の在留資格は、その在留資格で認められた活動しかできません。警備業務は該当しないため、これらの方を警備員として雇うことはできません。特定技能・育成就労も、繰り返しになりますが現時点で警備業は対象外です。


在留カードのどこを見るか


面接で在留カードを見せてもらったとき、確認する欄は決まっています。カード表面の下部にある「就労制限の有無」です。


就労制限の有無


この欄の表示で、判断は三つに分かれます。


表示

意味

警備員として雇えるか

就労制限なし

永住者・定住者・日本人の配偶者等など、身分系の在留資格

雇える(警備業法の欠格事由の確認は別途必要)

在留資格に基づく就労活動のみ可

技人国・技能・特定技能など、就労系の在留資格

雇えない

就労不可

留学・家族滞在など

原則として雇えない。カード裏面の「資格外活動許可欄」を要確認


「就労不可」と書かれていても、裏面の資格外活動許可欄に許可の記載がある場合があります。この点は後半のQ&Aで触れます。


なお、在留カードの記載を確認するだけでは足りません。警備業法上、警備員になれない事由(欠格事由)に当たらないかの確認と、新任教育の実施は、日本人を採用する場合と同じように必要です。教育を日本語で行うことになるため、実務では在留資格よりもここが先に壁になることが少なくありません。



2027年に向けて、いま準備できること


対象分野に追加されるかどうかは未定です。ですから「追加される前提で投資する」のは勧めません。一方で、追加されてもされなくても損にならない準備はいくつかあります。特定技能の受入れ機関(所属機関)に課される要件は分野をまたいで共通しているので、他分野の要件を眺めると、先にやっておくべきことが見えてきます。


社会保険・労働保険の適正化。特定技能の受入れ機関は、労働・社会保険・租税に関する法令を守っていることが要件になります。加入漏れや未納があると、そこで止まります。これは外国人雇用と関係なく、いま整えておいて損のない項目です。


法令違反歴をクリアにしておく。出入国関係・労働関係の法令違反があると、一定期間は受入れ機関になれません。過去1年以内に非自発的離職者を出していないこと、行方不明者を出していないことも共通の要件です。日々の労務管理がそのまま効いてきます。


雇用条件の書面化。報酬額が日本人と同等以上であることの説明を求められます。賃金規程・賃金台帳・雇用契約書が整理されているかどうかで、後の手間がまったく変わります。就業規則が実態と合っていない会社は、ここで作り直すことになります。


日本語教育の見立てを持っておく。求められる水準は未定ですが、他分野の例を踏まえれば、日常会話に加えて業務上の指示が通ることは前提になるとみておくのが自然です。交通誘導であれば、無線でのやり取り、事故発生時の通報、通行人からの問い合わせへの対応が現場で起きます。新任教育・現任教育を日本語で行う体制をどう作るか、やさしい日本語への言い換えを含めて、いまのうちに考えておく価値があります。


支援体制をどうするか決めておく。特定技能1号では、受入れ機関が支援計画を作り実施する義務があります。自社でやるか、登録支援機関に委託するかの二択です。制度が動き出してから探すと選択肢が狭くなるので、方向性だけでも決めておくとよいと思います。


いま雇える人から始める。身分系の在留資格の方であれば、今日から採用できます。外国人の警備員を受け入れる社内の運用(教育の進め方、シフトの組み方、書類の説明の仕方)は、実際に一人受け入れてみないと分かりません。制度が動いたときに、ゼロから始める会社と、すでに経験のある会社では差が出ます。



よくある誤解


技能実習で警備の仕事はできますか?


できません。技能実習の移行対象職種に警備業務は含まれていないため、技能実習生を警備員として受け入れることはできません。2027年4月に始まる育成就労でも、現時点で警備業は対象分野に入っていません。


留学生をアルバイトで警備に使えますか?


在留資格の側から見ると、資格外活動許可を受けていれば、その範囲内(原則として週28時間以内)で働くこと自体は禁じられていません。警備業は資格外活動許可で除外される風俗営業等には当たらないためです。ただし、警備業法上の新任教育を日本語で修了してもらう必要があり、時間数の制約とあわせて実務上のハードルは低くありません。個別の可否は在留状況によって変わりますので、採用前に確認されることをお勧めします。


「警備の特定技能はもう申請できる」という営業を受けました。本当ですか?


2026年9月10日時点で、警備業は特定技能の対象分野ではありません。分野別の運用要領も技能試験も存在しないため、警備員として働くための特定技能の申請はできません。「もう申請できる」「先に押さえておける」といった説明を受けた場合は、根拠となる告示や運用要領の名前を確認されてください。


検討会の報告書が出れば、すぐ受け入れられるようになりますか?


報告書は結論そのものではありません。実際に警備業を特定技能の対象分野に加えるには、政府の有識者会議を経たうえで閣議決定が必要です。報告書がまとまった後にも手続きが残ります。時期は現時点では分かりません。


永住者の方を警備員として雇う場合、何か特別な手続きは要りますか?


在留資格の面での追加手続きはありません。就労制限のない在留資格ですので、日本人を採用する場合と同じく、警備業法上の欠格事由の確認と新任教育の実施を行うことになります。ハローワークへの外国人雇用状況の届出は必要です(特別永住者を除く)。


業務区分によって扱いが変わりますか?


現時点では変わりません。いずれの業務区分でも、特定技能では雇えないという点は同じです。今後、検討会で施設巡回・交通誘導・現金輸送などの区分ごとに議論される見込みと報じられていますが、どう切られるかは決まっていません。



弊所にご相談いただけること/まだできないこと


線引きをはっきりさせておきます。


いまお引き受けできること。永住者・定住者・日本人の配偶者等といった身分系の在留資格の方を採用する際の、在留カードの確認と適法性のチェック、在留期間更新のサポート、永住許可申請。外国人雇用状況の届出。就業規則・雇用契約書の整備。他分野(建設業など)で特定技能の受入れをご検討の場合の、受入れ機関としての要件診断と申請一式。警備業とは別に建設業の許可や経営事項審査をお持ちの会社であれば、そちらとあわせてご相談いただけます。


いまお引き受けできないこと。警備業での特定技能の申請です。制度が存在しないため、どの行政書士にもできません。「今から準備しておけば早く出せます」という類のご提案も、内容が確定していない以上、弊所からは差し上げられません。


検討会の議論は公開情報として追いかけていきます。動きがあれば、この記事を更新するか、続きの記事を書きます。いまの段階でご相談いただくとすれば、「うちの会社は、制度が動いたときに受入れ機関の要件を満たせる状態か」という健康診断のような使い方が現実的だと思います。社会保険・労働保険の加入状況と、直近1年の離職の状況を見せていただければ、おおよその見当はつきます。


名古屋・尾張・三河の警備会社さまからのお問い合わせをお待ちしています。



この記事について


本記事は2026年9月10日時点の情報に基づいています。有識者検討会に関する事実関係は、日本経済新聞 電子版 2026年9月10日の報道を要約したものです(記事本文の転載はしていません)。制度の内容、特定技能の対象分野、育成就労の施行時期については、出入国在留管理庁および警察庁の公表資料をご確認ください。


検討会の議論の結果、対象分野に追加されるかどうか、また追加される場合の要件は、現時点では確定していません。本記事は将来の制度化を保証するものではなく、具体的な採用や申請のご判断にあたっては、その時点での最新の公的情報をご確認いただくか、弊所までお問い合わせください。


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この記事は、当事務所の記事サイト「外国人雇用と在留資格のノート」にも掲載しています。掲載元:https://lp.andceed.com/keibigyo-gaikokujin-tokutei-ginou/

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