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外国人社員が転職したとき、会社が確認すべきこと

6 日前
読了時間: 7分
転職しても在留カードの表面は変わりません。だからこそ見落とされます。届出の期限、在留資格が取り消される条件、そして次の更新で不許可になる典型パターンを、条文を示しながら整理します。

外国人社員が「来月で退職します」と言ってきた。あるいは中途採用で外国人を迎えることになった。そのとき人事のご担当者が最初に気になるのは、「ビザは大丈夫なのか」ということだと思います。


結論から申し上げると、転職そのものに入管の許可は要りません。ただし、放っておくと三つの場所で問題が起きます。届出義務、在留資格の取消、そして次の更新です。順に見ていきます。



在留カードは何も教えてくれない


まず押さえておきたいのは、転職しても在留カードの記載は一切変わらないということです。


在留カードに書かれているのは在留資格の種類(「技術・人文知識・国際業務」など)と在留期間であって、勤務先ではありません。前の会社を辞めて新しい会社に移っても、カードの表面は昨日と同じです。


これが厄介なところで、本人も会社も「特に何も起きていない」と感じてしまいます。異変が表面化するのは、たいてい在留期間の更新申請を出したときです。そのときには手遅れになっていることがあります。



一、十四日以内の届出(入管法19条の16)


転職した外国人本人には、契約機関の変更を十四日以内に出入国在留管理庁へ届け出る義務があります。根拠は入管法19条の16です。


対象になるのは「技術・人文知識・国際業務」「技能」「経営・管理」「高度専門職」など、就労を目的とする在留資格を持つ人です。「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」といった身分に基づく在留資格の人には、この届出義務はありません。


届出は本人が行うもので、会社の義務ではありません。ただ実務上は、本人が制度を知らないまま期限を過ぎてしまうことが非常に多いので、採用した会社の側から「入管への届出は済んでいますか」と確認していただくのが確実です。


なお、退職した会社を「離職した」という届出と、新しい会社に「就職した」という届出は、それぞれ十四日以内です。退職と入社の間に空白期間がある場合、届出も二回に分かれます。


届出のタイミング

期限

届出をする人

前の会社を退職した

退職日から14日以内

外国人本人

新しい会社に入社した

入社日から14日以内

外国人本人


届出を怠った場合、二十万円以下の過料の対象になります。加えて、次の更新審査で「制度を守っていない人」という心証がつくことのほうが、実際には重い影響を持ちます。



二、在留資格が取り消される条件(入管法22条の4)


ここが本当に怖いところです。


入管法22条の4第1項は在留資格の取消事由を定めていますが、就労系の在留資格を持つ人が離職した場面で関係してくるのは、次の二つです。


六号:在留資格に応じた活動を継続して三月以上行っていない場合(正当な理由がある場合を除く)


つまり、退職してから三か月以上、次の就職先が決まらない状態が続くと、在留資格を取り消される可能性が出てきます。「正当な理由」があれば取り消されませんが、それは真剣に就職活動を続けているといった事情を、本人の側が説明できる状態にあるという意味です。何もせずに三か月が過ぎたケースは、これに当たりません。


五号:在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合(正当な理由がある場合を除く)


こちらは三か月を待ちません。たとえば技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ人が、退職後にアルバイトで生計を立てている、といった状態が該当し得ます。三か月経っていないから大丈夫、とは言えないのがこの号です。


自社の外国人社員が退職する場合、その方が次にどうするつもりなのかを、退職の時点で一度確認しておくことをおすすめします。三か月というのは、想像よりずっと早く来ます。



三、次の更新でつまずく典型パターン


無事に転職先が決まり、届出も済ませた。それでも次の在留期間更新で不許可になることがあります。理由はほぼ一つです。


新しい会社での仕事の内容が、その在留資格の範囲に収まっていない。


たとえば「技術・人文知識・国際業務」は、大学等で学んだ専門分野に関連する業務であること、そして日本人と同等以上の報酬であることが求められます。前の会社ではシステム開発をしていた人が、新しい会社では現場作業が中心になっている——このとき在留カードの記載は変わりませんが、実態としては在留資格に応じた活動をしていないことになります。


更新申請の段階で入管がこれを見つけると、不許可になります。しかも、その時点では既に一年なり三年なりその会社で働いてしまっているので、修正が効きません。会社にとっては、育てた人材を突然失うということです。


採用の直後に確認しておけば、防げます。



就労資格証明書という手段


そこで使えるのが就労資格証明書(入管法19条の2)です。


これは「新しい勤め先でのこの仕事は、今持っている在留資格の活動範囲に含まれます」ということを、出入国在留管理庁が証明してくれる書面です。取得は任意で、なくても働けます。


ただし、取っておく実益は大きいです。


  • 次の更新まで待たずに、採用した時点で入管の判断を確認できる

  • 万一「この仕事は範囲外です」となっても、その時点なら職務内容を調整するなり、在留資格変更を検討するなり、打ち手が残っている

  • 会社にとって、適法に雇用できていることの裏づけになる


逆に言えば、就労資格証明書を取らずに更新まで進むというのは、一年から三年分の雇用を、入管の判断を確認しないまま積み上げるということです。前職と職務内容が大きく変わる採用ほど、取得しておく価値があります。


転職したら在留資格の変更許可申請が必要ですか?


同じ在留資格の範囲内で働き続けるのであれば、変更許可申請は不要です。必要なのは契約機関に関する届出(14日以内)です。ただし、職種が変わって別の在留資格に該当することになる場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。


14日以内の届出を忘れていました。今からでも出せますか?


出せます。期限を過ぎていても届出自体は受理されます。20万円以下の過料の対象にはなりますが、放置してさらに時間が経つほど不利になるので、気づいた時点で速やかに提出してください。


退職してから3か月以内に次が決まらない場合、どうすればよいですか?


就職活動を継続していることが説明できる状態を作っておくことが重要です。応募履歴などを残しておいてください。状況によっては「特定活動(就職活動)」への在留資格変更が選択肢になる場合もありますので、3か月が近づく前にご相談ください。


就労資格証明書は会社が申請できますか?


申請するのは外国人ご本人ですが、会社が代理人や取次者を通じて手続きを進めることは可能です。会社側で雇用契約書や職務内容の資料を用意する必要があるので、実務上は会社と本人が一緒に進める形になります。


採用してよいかどうか、在留カードのどこを見れば分かりますか?


在留資格の種類と在留期間(満了日)、そして裏面の「資格外活動許可」欄です。ただし在留カードだけでは「その仕事をさせてよいか」は判断できません。職務内容と在留資格の対応を確認する必要があります。



この記事について


本記事は2026年9月時点の入管法および出入国在留管理庁の運用に基づいて書いています。個別のケースでは、職務内容、学歴との関連性、報酬水準、会社の規模や事業内容など、複数の要素をあわせて判断する必要があります。自社のケースで判断に迷うことがありましたら、行政書士事務所アンドシードまでお気軽にお問い合わせください。


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この記事は、当事務所の記事サイト「外国人雇用と在留資格のノート」にも掲載しています。掲載元:https://lp.andceed.com/tenshoku-zairyu-shikaku/

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